【管理栄養士監修】牛乳に含まれている栄養はカルシウムだけじゃない!身体に与える効果とは

牛乳といえば、給食の時に出てきたり、幼いころに「骨を強くするために」とよく飲むように勧められたのを思い出します。牛乳はそのまま飲む他に、料理に牛乳を使ったり、ココアパウダーなどに溶かして飲むなど色々な活用法がある飲み物です。今回はそんな牛乳に含まれる栄養について、解説していきます。

2018年04月04日更新

免疫力と食事・サプリ

亀崎智子 (管理栄養士)

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[1]みんな大好き牛乳の基礎知識

牛乳はいつから飲まれているの?

日本に牛乳が伝わってきたのは、飛鳥時代でした。牛乳は仏教徒の関わりが強く、仏教とともにインドから中国、朝鮮と伝わってきました。仏教の思想が書かれた書物にも牛乳のことが出てきます。その後、江戸時代中期から酪農・乳業が始まっていきました。

牛乳の種類は?

牛乳には、「成分無調整」「成分調整」の2種類あります。成分無調整は、製造の過程で成分を調整していない牛乳のことです。牛乳は成分無調整ということになります。成分調整牛乳は、生乳から脂肪分・水分・ミネラルなど、乳成分の一部を除去し、成分を調整した牛乳のことです。

平成15年に「乳及び乳製品の成分企画等に関する省令」の改正が食品衛生法に基づいて行われ、【種類別】成分調整牛乳が新しく作られました。無脂乳固形分(牛乳から水分と乳脂肪分を除去した成分)は8.0%以上と決められていて、無脂肪分の決まりとして、売られているものは1.5%を超えるものになっています。

[2]牛乳に栄養はない?ある?栄養成分と効果・効能

牛乳の栄養といえばカルシウム!

  • 骨や歯を丈夫にする
  • 私たちの身体を支えるために、骨はとても重要な役割があります。マグネシウムとリンと一緒に骨や歯を作るため、健康な身体を作るために大切な働きをしています。また、骨にはカルシウムが貯蔵されています。身体の中でどこかでカルシウムが不足すると、骨が貯蔵しているカルシウムが血液に溶け出します、そのカルシウムは血液に乗り、カルシウムが不足しているところまで運ばれます。骨からカルシウムが溶け出すと、それを補うためにカルシウムを積極的に摂取する必要があります。

  • 骨粗しょう症の予防
  • 骨は、毎日作られては壊されるというのを繰り返しています。このバランスをうまくとることで、健康な骨を維持しているのです。しかし、カルシウムが不足して骨を作る力が弱まってしまうと、骨を作る力が弱まり壊されるばかりになってしまいます。骨がもろくなると、「骨粗しょう症」になる原因となってしまいます。女性は骨粗しょう症になりやすいと言われています。その理由は、閉経で女性ホルモンの分泌が減っていくことと、無理なダイエットによって骨がもろくなってしまうためです。

  • 他の栄養素と一緒でカルシウム吸収率をアップさせる
  • カルシウムの身体への吸収率は、食品によって違います。牛乳は約40%、小魚は約33%、野菜は約19%で、食べ物からのカルシウムの吸収率はあまり高くないので、毎日コツコツ取り入れていく必要があります。そのため、カルシウムの吸収率を助けてくれるビタミンDや、カルシウムが骨から溶け出すのを抑える働きを持っているビタミンKを、一緒に摂り入れるのがおすすめです。

からだを作るタンパク質

  • からだを作る
  • 身体を作るために、タンパク質は大変重要な役割を担っています。髪の毛や爪、筋肉や臓器を作るのもタンパク質です。血管を強くするタンパク質の働きは、脳梗塞や脳出血の予防に効果が期待できます。また、美肌に欠かせないコラーゲンはタンパク質の一つです。タンパク質を摂ることで肌を美しく保つ効果が期待できます。

  • 免疫力を高める
  • タンパク質には、ウイルスや菌から身体を守る「抗体」の働きをサポートする力があります。抗体は、身体の中に入ってきたウイルスなどの異物を外に排出してくれる働きがあります。抗体の力が弱まってしまうと、異物を排出する力も弱ってしまうため、病気にかかりやすくなってしまうのです。病気にかかりにくく、免疫力を高めるためにはタンパク質を摂取することが大切です。

  • 貧血の予防
  • 赤血球の中にあるヘモグロビンは、酸素を身体中に送る役目があります。このヘモグロビンは、タンパク質と鉄が結合してできるものです。ヘモグロビンが足りなくなると、酸素が全身にうまく届かなくなってしまうため、貧血や頭痛などを引き起こしてしまいます。貧血を予防するためには重要な成分です。

アンチエイジングに欠かせないビタミンA

  • 老化防止
  • 抗酸化作用を持つビタミンAは、細胞が酸化しないように活性酸素の発生を抑制します。細胞が酸化すると、老化が早まったり病気になりやすくなることがあります。このため、ビタミンAはアンチエイジングには欠かせないビタミンと言えるでしょう。ビタミンAが不足することによって、肌が乾燥したり抜け毛が増えることがありますが、積極的にビタミンAを摂取することで、肌の潤いを維持する効果が期待できます。

  • 粘膜や皮膚を健康に保って免疫力アップ
  • ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康に深く関わっています。皮膚や粘膜は、ウイルスなどの病原菌が身体の中に入ってくるのを防ぐ役割をしてくれているのです。免疫作用に深く関わるビタミンAが不足すると、目や肌が乾燥したり消化器の粘膜が弱くなり下痢を引き起こしたりすることもあります。免疫力をアップさせるためにも、ビタミンAを摂取すること有効です。

成長に欠かせないビタミンB2

  • 身体の成長に欠かせないビタミン
  • 身体の成長にタンパク質は欠かせませんが、ビタミンB2にはタンパク質の合成に補酵素として関わります。ビタミンB2の働きでタンパク質が作られるため、成長期の子どもには特に必要な成分です。タンパク質は細胞を再生したり、皮膚や毛髪などを作る働きをし、ビタミンB2は目や唇の粘膜を健康に維持するために必要な成分です。

  • 生活習慣病予防
  • 発がん性の有害物質「過酸化脂質」は、老化や動脈硬化の原因となるものです。ビタミンB2は、過酸化脂質の分解を促す作用があります。動脈硬化は、心臓病や高血圧の原因になるため、ビタミンB2を積極的に摂取し、生活習慣病を予防していきましょう。

  • ダイエットをサポート
  • 運動をすると人は身体の中で、糖質をエネルギーに変えて消費します。ダイエットには糖質や脂質を身体の中に溜め込まないことが重要ですが、この代謝にはミネラルやビタミンの力が必要です。ビタミンB2は、脂質や糖質の代謝を高めるのでダイエットのサポートをしてくれる成分なのです。

細胞の生命活動に必要なリン

  • 神経・筋肉活動を正常に保つ
  • リンは細胞の成長やエネルギーを作り、筋肉の収縮や脳や神経がきちんと働くようにサポートをしたり、骨や歯の材料になったりします。リンが足りないと、新陳代謝が低下してしまいます。そうなることで、身体がだるくなったり筋肉が衰えたりしてしまいます。ただし、過剰摂取には注意が必要です。インスタント食品や清涼飲料水に使用されており、カルシウムや鉄の吸収を悪くして、骨粗鬆症や腎臓病を引き起こす危険性があるのです。

[3]牛乳とコレステロールの関係

「コレステロール」と聞くと、健康に悪いものという印象を持っている人は多いと思います。しかし、コレステロール自体は身体に有害ではないものなのです、脂質の一種でもあり三大栄養素の一つでもあります。生体構成成分として私たちの身体には欠かせないものなのです。私たちの身体の中は約60兆個の細胞でできていて、細胞の内側と外側を分ける細胞膜が栄養分などのやりとりを行なっています。この機能は、コレステロールが不足すると低下してしまいます。

コレステロールのもうひとつの働きは、ビタミンDの材料になることです。ビタミンDはカルシウムの吸収をよくする大切な成分です。このビタミンDは、皮膚に紫外線が当たることで、コレステロールの一種からプロビタミンDが作られて、肝臓と腎臓で活性化されることで作り出されます。このため、コレステロールは私たちにとって必要なものと言えるのです。

コレステロールは脂質の一種のため、そのままの形では血液には溶け込めず、「リポたんぱく質」という成分に変換します。悪玉コレステロールや善玉コレステロールという言葉を聞いた事があると思います。しかし、これはコレステロール自体が悪玉や善玉なのではなく、リポたんぱく質の役割の違いのことを指しているのです。悪玉コレステロールは、身体の抹消の血管にコレステロールを運んで、LDLが血液中に増えると動脈硬化などの原因になることがあります。善玉コレステロールは、身体の中の余ったコレステロールを肝臓に運ぶ働きから、血管の掃除屋と呼ばれます。この働きで動脈硬化を予防します。

牛乳に含まれるコレステロールは、それほど気にするような量ではないとされています。身体を作るために必要なコレステロールを上手に摂取するためには、牛乳は適していると言えるでしょう。

[4]牛乳とアレルギーの関係

私たちの身体は異物が体内に入ってくると、それが有害か無害か判断をします。無害の場合は身体の中に取り込んで利用し、有害の場合は無害化して身体の中に取り込むか、体外に排出します。この働きを「免疫」と言います。そして、一度その異物を有害なものと判断して、無害化できなかったものが再び体内に入ってこようとした時、くしゃみや鼻水などの反応を起こすことで異物の侵入を防ごうとします。これが「アレルギー反応」です。

アレルギーを起こす原因は、ホコリやダニなどの他に植物や食べ物もあります。食べ物のアレルギーとしてよく知られているのは、牛乳・卵・小麦・大豆・そば・ピーナッツなどです。同じ食べ物を食べてもアレルギーが出る人と出ない人がいるのは、どれだけの抵抗力がその原因物質に対してあるか、ということで決まってきます。アレルギーについて、食べ物が原因のものは乳幼児の時期に起きやすいと言われています。年齢が上がるとともにその症状は改善していく場合が多いのですが、アレルギーは素人が判断しては危険です。牛乳は身体を作るために必要な栄養を豊富に含んでいます。しかし、もしもアレルギー反応と思われる症状が出たらすぐに受診するようにしましょう。

また、アレルギーではありませんが、一般的に日本人の腸は牛乳のカルシウムを吸収するために必要なラクターゼという酵素が少ないのです。そのため、牛乳のカルシウムが吸収されにくかったり体質的に合わなかったりする場合には、カルシウムは小魚や海藻など他の食材で摂り入れることも可能なので無理に飲む必要はありませんよ。

参考元:日本小児アレルギー学会アレルギー委員会 食物アレルギー診療ガイドライン2012

[5]料理に活用して牛乳の栄養を摂取しよう!

牛乳は飲み物として飲む他に、料理に使うこともあります。シチューやグラタン、ポタージュスープなど、たくさんの料理に使われます。牛乳が苦手な人もグラタンなら食べられるという場合もあるでしょう。ココアパウダーやきな粉を溶かして飲むなど、ちょっとした工夫で牛乳をおいしく摂ることができます。牛乳は子どもに飲ませるというイメージがあると思いますが、大人も健康維持のために牛乳を摂ることをおすすめします。ただし、なんでも過剰に取ることはおすすめできないのでほどほどにとるようにしましょう。

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