【医師監修】糖尿病はこうして起こる!原因や症状、合併症について

突然ですが、あなたは糖尿病についてどれだけ知っていますか。生活習慣病?実は必ずしもそうではありません。甘いものを食べ過ぎたせい?それもまた一概には言えないのです。そもそも何が原因で引き起こされ、初期症状などはあるのでしょうか。今回は、よく耳にすることはあっても多くの人が無関係と思いがちな疾患、糖尿病について工藤孝文先生ご監修のもと、分かりやすくお伝えします。

【監修】工藤孝文 先生(糖尿病内科医)

糖尿病とはどんな病気?

糖尿病とはどんな病気?

厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる者」は約1,000 万人と推計され、平成9年以降増加の傾向にあるそうです。

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病は自己免疫疾患などが原因で、インスリンと呼ばれるホルモンの分泌が極度に欠乏、または一切分泌されなくなることで引き起こされるものです。

かつては小児糖尿病とも言われていたものの、現在では30歳以降の突発的な発症も多く認められています。糖尿病という名のために誤解されがちですが、生活習慣とはまったく関係ありません。

一方の2型糖尿病は、肥満、食生活、運動不足などで引き起こされ、自己管理での改善や予防が可能な疾患です。広く知られているほうの糖尿病のイメージに近いでしょう。実際、日本における糖尿病患者の9割以上がこの2型糖尿病とされています。

今回主にお伝えするのがこちらのため、記事内の「糖尿病」は特記がないかぎり2型糖尿病を指しているとお知り置きください。

糖尿病はインスリンの不足によって引き起こされる

そもそも、インスリンとは一体何でしょうか?

空腹の状態でうまく考えがまとまらず、軽食を摂ったりお菓子をつまんだら頭が回り始めた…そんな経験をしたことはありませんか。私たちの脳や身体は糖分を燃料にして動いています。食事から取り込んだ糖分(ブドウ糖)が血液中に溶け込むと「血糖」と呼ばれ、これが身体の隅々まで運ばれていくことで栄養を行き届かせようとするのです。

しかし実は血糖だけでは燃料になりません。細胞に働きかけて血糖を取り込ませるホルモンの存在があって初めて、栄養の供給や貯蔵が成立するのです。

そのホルモンこそインスリン。膵臓によって生成され健康体であれば常に分泌されているものですが、食事によって血糖値が上がると膵臓内部の細胞群や組織が即座に反応し、さらに大量のインスリンを分泌する仕組みになっています。

また、インスリンは細胞と血糖をつなぎ合わせる交渉役だけではなく、栄養不足の状態にそなえて肝臓への貯蓄、余分な栄養を中性脂肪に変換、などといった重要な役目も担っています。私達が少し食事を抜いても動いていられるのはインスリンのおかげと言っても過言ではないでしょう。

糖尿病になる仕組み

さて、このインスリンの働きが悪くなるとどうなるでしょうか?

身体の維持に必須の燃料であるはずの血糖がどこにも吸収されず、栄養の摂取効率が非常に落ちます。どれだけ食事をしても元気になれない状態です。同時に、肝臓や脂肪への貯蓄もされていないため慢性的に栄養不足の状態が続きます。

それだけではありません。行き場をなくした糖が原因で血液の濃度がひたすらに高くなり、いわゆるドロドロ血の状態になってしまうのです。ドロドロ血は動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などのリスクを非常に強く含んでいます。

2型糖尿病とは、このインスリンの分泌量が低下、または生成されたインスリンがうまく作用せず、高血糖が慢性的に続く状態のことを指します。

糖尿病はこうして起こる!生活習慣における糖尿病の原因

糖尿病はこうして起こる!生活習慣における糖尿病の原因

それでは2型糖尿病の原因とは何なのでしょうか。実のところ明確な原因というものは完全には明らかになっていません。なぜかというとさまざまな要因が絡まり合い、個人によって主原因と思われるものが異なるためです。

以下に、そのさまざまな要因に挙げられるものをご紹介します。

遺伝

両親や祖父母などの近い親族に糖尿病患者がいた場合、そうでない人に比べて糖尿病になる確率は確実に上がります。インスリンに関する体質が遺伝する可能性が高いためです。この体質を持っていることに加え、食べ過ぎや運動不足などの良くない生活習慣が重なることで糖尿病が発症すると言われています。

食べ過ぎ、肥満

血中に入ってきた糖分に反応して血糖を細胞に送り、余った栄養を貯蓄するのがインスリンの役目であることはご紹介しました。血糖が突然大量に入ってきたり休みなく投入されるとそれに合わせた量が分泌され続けるということになります。

するとインスリンを分泌する臓器である膵臓はやがて過労状態を起こし、機能を低下させ、インスリンの分泌量を低下させてしまいます。これが食べ過ぎにおける糖尿病のリスクです。

また、過食は当然肥満を引き起こします。肥満などによる内臓脂肪の肥大化は、インスリンの効き目を下げる「インスリン抵抗性」という状態を引き起こします。インスリンの分泌量と効き目が低下すると高血糖状態になるのは先述した通りですね。

運動不足

貯蓄したエネルギーは本来運動のためにあるものです。運動せず豊かな食事で糖分を取り込む一方であれば、血糖値が上がるのも当然のことです。移動や仕事に全身を使うことが少なくなってきた今、運動不足は現代人にとって何よりも身近な糖尿病の要因とも言えるかもしれません。

ストレス

意外かもしれませんが、ストレスは糖尿病につながることが少なくありません。

ストレスを感じると分泌されるアドレナリンやコルチゾールといったホルモンが原因です。これらは戦闘態勢に入った生物の能力を大きく上昇させる役割を持っているものですが、結果として心拍数や血圧、そして血糖値を上げる作用があり、さらにはインスリンの効き目を下げてしまいます。

慢性的に分泌されている状態、つまり常にストレスにさらされている状態はそのまま糖尿病リスクを高めていると言えるでしょう。

糖尿病にまつわる誤解

糖尿病にまつわる誤解

はるか昔から恐ろしい病気として知られている糖尿病。しかし糖尿病にまつわる話題にはいくつかの誤解があります。

甘いものを食べるから糖尿病になる?

甘いものが血糖値を急激に上げ、糖尿病のリスクを高めるのは確かです。しかし必ずしもそうではないのはこれまでにご紹介した通りです。糖分はあらゆる食事に含まれます。節制が必要なのは甘いものに限った話ではありません。

糖尿病は不治の病?

糖尿病は罹患したら最後、一生付き合う病であるというイメージを抱いてはいませんか。残念ながら1型においては現時点では決定的な打開策が発見されていませんが、2型に関しては決してその限りではありません。運動療法、糖質制限などの食事療法などといった生活改善で一般的な生活に戻れるものなのです。

糖尿病患者は短命?

これは完全に外れというわけではありません。ただしその原因は糖尿病ではなく、糖尿病の進行に伴って起こる数々の合併症が主なのです。つまり、合併症が起きる前に糖尿病を早期発見し改善していけば、決してその限りではないのです。

具体的には何が起きるの?糖尿病の諸症状と合併症

具体的には何が起きるの?糖尿病の諸症状と合併症

では、糖尿病に罹患すると一体何が起きるのでしょうか。そもそも自覚症状はあるのでしょうか?

糖尿病の自己診断は可能?

実のところ、糖尿病の初期状態は見た目や状態などに表れにくいのです。

血縁に糖尿病患者がいる(いた)、甘いものや脂っこいものが好きでよく食べる、運動不足、若い頃に比べると肥満状態にある、ストレスを抱えている…といった糖尿病の要因が現在の自分に当てはまるかどうか、一度振り返ってみてください。

自覚症状が出ていたらすぐ検診へ

なんだか最近疲れやすい、頻尿、喉がよく渇く、たくさん食べているのに痩せる、手足にしびれがある。これらに思い当たる点があったらそれは糖尿病の自覚症状かもしれません。そして糖尿病における自覚症状は、すでに血糖値がかなり高い状態にあってから起こるものなのです。合併症が起こる前に速やかに受診することを強くおすすめします。

主な血糖値の改善方法

主な血糖値の改善方法

それでは糖尿病になる前に、あるいは糖尿病と診断されたあと、自分でできる血糖値の改善方法にはどんなものがあるのでしょうか?

食事療法

血中に糖分を与えているのは他でもなく自分自身です。砂糖だけではなく米や小麦など糖質を徹底的に避ける糖質制限が糖尿病に大きな効果がある、というのは近年よく知られていますが、それ以前から糖尿病対策として有効的な食事療法が伝えられてきました。

一日3食バランスよく規則正しく、よく噛んで食べ、腹八分目におさえ、寝る前には食べない。血糖値の上昇をゆるやかにするために野菜から口に入れる。腎症を防ぐために減塩にも気をつける。今の時代なら糖尿病対策のレシピもインターネットで手軽に入手できるでしょう。一日に必要なエネルギー量についても調べ、毎日の目安にしておくことが大事です。

運動

運動はブドウ糖や脂肪を消費します。これによって血糖値を下げ、インスリンの働きを良好なものにするのです。

糖尿病では主に身体への負荷が少ない無酸素運動が勧められていますが、無酸素運動で鍛えられる筋肉もインスリンの機能を高めるのに効果的です。あまり強度の高い筋肉トレーニングは血管や心臓の負担になるため、毎日継続して少しずつ行うことが肝要でしょう。大事なのは過負荷をかけて消耗することではなく、長く続けることです。

生活習慣を見直してみる

頑張って食事療法をしていても、過度な飲酒によってカロリー摂取をしていれば台無しです。また喫煙は交感神経を刺激して血糖を上昇させ、体内のインスリンの働きを低下させるだけではなく、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症のリスクも高めます。

慢性的なストレスが良くないのは先述した通りですが、睡眠不足はインスリンの効き目を低下させます。特に眠りの質が悪かったり夜中に何度も目が覚めるなどの睡眠障害を起こしている場合は高血圧まで引き起こしている可能性まであります。

どれかひとつでも心当たりがあるようなら、改善してみることで糖尿病へのリスクは大幅に下げられるでしょう。

糖尿病についてのまとめ

かつては中高年以降によく見られた糖尿病ですが、現代では10代20代など若年層の発症も増加傾向にあります。

日本人は特にインスリンの分泌能力が欧米人に比べて低く、明確に肥満と言える状態になる前に糖尿病に罹患していることも少なくないようです。誰にとっても決して他人事とは言えないこの病とどう向き合い、節制して回避していくかが、現代における課題のひとつと言えるかもしれませんね。
 

工藤孝文 先生工藤孝文 先生(糖尿病内科医)

日本テレビ「世界一受けたい授業」減量外来ドクター
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」肥満治療評論家

KUDONAIKA(クリニックホームページ)
工藤孝文先生のスマホ通院できるダイエット外来

<書籍>
「痩せグセの法則」枻出版社
「きゅうり食べるだけダイエット」角川書店
「医師が教える女性の不調ケア大全」宝島社
「日めくり叱咤激励ダイエット」エイ出版社
「痩せる呼吸法」枻出版社

<テレビ出演・監修>
「ホンマでっか!?TV」フジテレビ
「世界一受けたい授業」日本テレビ
「NHK:Rの法則」NHK
「得する人損する人」日本テレビ
「くりーむしちゅーのハナタカ!優越館」テレビ朝日
「ソレダメ! ~あなたの常識は非常識!?~」テレビ東京
「ジョブチューン」TBSテレビ
「グッド!モーニング」テレビ朝日
「明日は我がミーティング」TBSテレビ
「ありえへん∞世界」テレビ東京
「FNS27時間テレビ」フジテレビ
「教えて!ドクター 家族の健康」BSジャパン
「医TV」北海道テレビ
「ももち浜スア」テレビ西日本
「アサデス。KBC」九州朝日放送
ほか

<雑誌・メディア>
「anan」マガジンハウス
「Popteen」角川春樹事務所
「女性セブン」小学館
「週刊女性」主婦と生活社
「からだにいいこと」からだにいいこと
「LDK」晋遊舎
「安心」マキノ出版
「Yahoo!ニュース」
ほか

<診療科目>
糖尿病内科
ダイエット外来
漢方治療
女性内科

<専門分野>
糖尿病・高血圧・脂質異常症など生活習慣病
甲状腺疾患・更年期障害など女性に多いホルモン疾患
ダイエット外来・女性漢方外来

<経歴>
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。
2017年よりスマホ診療を導入し全国規模での診療も行っている。

日本内科学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、日本東洋医学会、小児慢性疾病指定医

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