免疫力の基礎

【医師監修】免疫力と美容は関係ある?女性なら知っておきたい美肌を保つための5つの秘訣

感染症やがんなどの病気から体を守るというイメージが強い免疫力ですが、実は女性に多い肌悩みにも関係しています。免疫力と美容の関係や、美肌をキープするための免疫力アップ方法などを詳しく解説します。

2018年04月05日更新

宇井千穂 先生 (皮膚科医)

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[1]美容と免疫力は関係ある?実は肌も免疫力をもっている

免疫力とは、体にもともと備わっている、ウイルスや細胞と戦う力のこと。免疫力を高めることで感染症やがんの発症リスクを低減できることが知られていますが、実は美容にも免疫力は関係しています。

肌に備わる免疫細胞「ランゲルハンス細胞」が美容との関係性あり

免疫力を担う免疫細胞にはいくつかの種類があり、肌の免疫力を司っている代表的なものにランゲルハンス細胞という免疫細胞があります。ランゲルハンス細胞は樹状細胞のひとつで、ドイツの病理学者パウル・ランゲルハウスによって発見されました。
「肌のバリア機能」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。免疫力は、この肌のバリア機能を担うもののひとつで、ランゲルハンス細胞はその中心的な役割をしています。表皮全体の細胞のおよそ2~5%を占め、ウイルスや細菌から肌を守っています。

免疫細胞「ランゲルハンス細胞」の働き

ランゲルハンス細胞の働きは大きくふたつに分けられます。

  • 異物進入の見張り役
  • ランゲルハンス細胞の大きな働きのひとつは、皮膚の免疫反応を誘導する司令塔というべき役割を果たしていることです。 ランゲルハンス細胞は外から来た異物を捕捉し、リンパ節へ遊走して、その情報をT細胞へ知らせます。T細胞からはキラーT細胞やヘルパーT細胞が誘導され、感染細胞を死滅させたりします。
    ランゲルハンス細胞には木の枝のような突起があり、その先端には異物を感知する受容体がついています。ランゲルハンス細胞はその突起で異物を察知すると、侵入した異物を捕食し、その情報をT細胞に伝達します。
    情報を受け取ったT細胞は異物を殺したり、再び異物に侵入された時のために、すぐに対応できるようにします。 ランゲルハンス細胞は、1㎟に400〜1000個も存在し、アンテナを張り巡らせて、皮膚内の異物侵入の見張り役をしているのです。

  • 自己防衛機能
  • 紫外線や乾燥といった外的刺激は肌トラブルの大きな原因。これらの刺激が肌に加わると、肌の内部では肌トラブルを引き起こす刺激応答因子が生み出されます。この刺激応答因子を感知すると、ランゲルハウス細胞の周囲を覆う鎮静化酵素が刺激応答因子を攻撃しトラブルから肌を守ります

[2]免疫力低下は美容にも影響する?

表皮に存在し肌トラブルから肌を守っているランゲルハンス細胞。その細胞の機能の衰えは当然美容面に影響します。

ランゲルハンス細胞の機能低下はしみ・しわの原因に

ランゲルハンス細胞が正常に機能することで肌トラブルの原因となる刺激応答因子が攻撃されます。そのため、ランゲルハンス細胞の機能が衰えると刺激応答因子が分解されず、結果、多くの女性が悩むしみやしわ、吹き出物、乾燥肌、敏感肌などの肌トラブルに移行してしまうのです。

ランゲルハンス細胞の機能が衰えて美容に影響がでる3つの原因

  • 加齢
  • 大手化粧品会社の資生堂が公表している調査結果によると、ランゲルハンス細胞の自己防衛機能である鎮静化酵素の量を26歳~30歳の若年層グループと49~58歳のアマチュア層グループで比較したところ、アマチュア層グループの鎮静化酵素の方が著しく少なかった>といいます。つまり、加齢によりランゲルハンス細胞の自己防衛機能は低下すると考えられます。

  • ストレス
  • ストレスを司っている自律神経はT細胞、B細胞といった免疫細胞も支配しています。そのため、ストレスで自律神経が乱れるとリンパ球にも影響を及ぼし、免疫力も低下してしまいます。 また、ストレスを受けると分泌されるコルチゾールというホルモンには免疫機能を抑制する働きがあります。

  • 石油系合成界面活性剤
  • 洗顔料やシャンプーなどの化粧品には、油分と水分がきちんと混ざるようこのふたつを馴染ませる役割をもつ「界面活性剤」が含まれているものがあります。界面活性剤にはたくさんの種類がありますが、その中の石油系界面活性剤は洗浄力や脱脂力が強く、また、タンパク質を変性させる力も強いため、肌の細胞にダメージを与えます。肌に存在するランゲルハンス細胞もダメージを受け、肌を守る機能を低下してしまいます。
    このほか、乾燥や紫外線などさまざまな外的刺激がランゲルハンス細胞の機能低下の原因となります。

[3] 免疫力を高めて美肌・美容を保つにはどうすればいい?

免疫力は加齢によっても低下しますが、生活習慣の影響も受けます。美容面にも関わる免疫力を高め健康な体と肌を保つには、まずは生活習慣を見直しましょう。

栄養バランスのよい食事をとる

ランゲルハンス細胞を含む免疫細胞のもとになっているのはタンパク質と脂質です。 そのため、免疫力を維持するには良質なタンパク質をしっかりとる必要があります。また、ビタミンやミネラルには免疫細胞を活性化させる働きをもつものがあります。免疫力に関わる栄養素をバランスよくとるためにも、栄養バランスのよい食事をきちんと三食とることが大切です。

腸内環境を整える

免疫細胞の多くは腸に存在しています。腸内環境を整えることで免疫細胞が活性化し、免疫力も高まります。逆に、便秘などで腸内の環境が悪化していると免疫機能もうまく働きません。
腸内環境を整えるには食物繊維が役立ちます。食物繊維は便の通りをよくし便秘解消に効果が期待できます。根菜類やきのこなど食物繊維が豊富な食材を積極的にとるようにしましょう。腸の善玉菌を増やす乳酸菌やビフィズス菌が含まれているヨーグルトもおすすめです。

体を冷やさない

免疫細胞は血液の中にも存在し、血液の流れにのって全身を巡り体中をパトロールしています。体が冷えると血管が収縮して血液の流れが悪くなるため、免疫機能もスムーズに働かなくなってしまいます。日頃から体を冷やさないように気をつけましょう。冬場はもちろん、夏場もエアコンの効かせすぎには注意が必要です。オフィスなどでは自分でエアコンの温度を調整しにくいことあるので、羽織るものを常備しておくとよいですね。

適度に運動する

ウォーキングなど適度な有酸素運動は血流をよくする効果が期待できます。免疫細胞が存在する血液がスムーズに体を巡ることで免疫力の強化も期待できます。また、運動で腹筋が鍛えられると便も出しやすくなるため便秘解消にも効果的です。
免疫力アップを目的として運動を行う際のポイントは、有酸素運動を継続して行うこと。無理のない適度な運動であることが大切です。負荷の強い無酸素運動では、免疫細胞にダメージを与える活性酸素が作り出されてしまうため逆効果になってしまうことがあります。

紫外線や乾燥対策をしっかり行う

美肌に直接関わるのが表皮に存在するランゲルハンス細胞。ランゲルハンス細胞は外的刺激によるダメージで機能が低下するため、紫外線や乾燥といった肌に刺激となるものをできるだけ取り除くことが重要です。夏の晴れた日はもちろん、曇りの日も紫外線は降り注いでいます。日傘や帽子、日焼け止めで紫外線対策を行いましょう。冬場に気をつけたいのは乾燥です。保湿化粧水でしっかり肌のうるおいを守りましょう。エアコンも乾燥の原因になるので、エアコンをつけるときは加湿器も用意するなど工夫しましょう。

[4] 免疫力を高めることは健康にも美容にも大きなメリットになる


免疫力というと中高年や病気がちな人が気にするもの…と思っている人も多いかもしれません。しかし、30代や40代で気になりだすしみやしわといった肌トラブルから肌を守ってくれるのも免疫力です。免疫力を高めることで体の健康も美肌もキープできるなんて一石二鳥ですよね。ぜひ、免疫力を高める日常生活を意識してみてください。

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