免疫力と運動

【医師監修】免疫力を高める運動が知りたい!1日30分のインターバル速歩でよりよい健康状態にしよう

運動はダイエットやストレス解消によいだけでなく、免疫力を高める効果も期待できます。ただし、免疫力を高めることを目的とする運動にはいくつかのポイントがあります。しっかり効果を得られるよう、免疫力を高める運動のポイントや注意点を押さえておきましょう。

免疫力を高める運動のすすめ!インターバル速歩で免疫力アップ

2018年04月10日更新

眞鍋憲正 先生 (医師)

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[1]適度な運動は免疫力を高める

「適度な運動が健康によい」ことは皆さんが知っていることだと思いますが、免疫力についてはどうなのでしょうか。事実、運動には風邪をひきにくくすることが報告されています。

これまで世界中のさまざまな研究者によって、運動量と上気道感染(=いわいる風邪)の関係性が研究されてきました。その研究によってわかったのは、中等度の運動をする人は、運動をしない人や過度に運動をする人と比べて、上気道感染をおこしにくいということです。つまり、適度に運動をするということは風邪から私たちの身体を守ってくれるのです。

それでは、どうして運動が風邪を防いでくれるのでしょうか?

[2]適度な運動が免疫力を高める2つの理由

運動はNK細胞を増加させて免疫力を高める

免疫システムの中で、最初に反応する身体の防御機構で重要な役割を担っているのがNK(ナチュラルキラー)細胞です。NK細胞は、ウイルスが入り込んで感染してしまった細胞や、正常な細胞が突然変異して異常ながん細胞になったときに、真っ先にそれらを攻撃して破壊する役割を持っています。

そのため、このNK細胞の数が少ないと風邪などの感染症を発症しやすくなるだけでなく、慢性的な疾患のほか、がんをも引き起こしてしまいます。最近、短時間でも中等度の運動をすることによってこのNK細胞が増えることがわかってきました。

少しでも適切な強さの運動をすることで、さまざまな感染症やがんを防ぐことができるかもしれません。

参考文献:Impact of brief exercise on peripheral blood NK cell gene and microRNA expression in young adults; Radom-Aizik S.; 2013

運動により免疫力が高まり慢性炎症が抑えられる

生活習慣病、がんや認知症など、年を重ねるごとに伴っておきてくる病気の多くは、身体の慢性的な炎症が影響している、ということがここ最近の研究で明らかになってきました。この原因は不活動、つまり活動量の低下から身体の免疫がきちんと機能しなかったり全身の組織が変化してしまったりすることによると考えられています。

一方で、これらは適切な運動をして活動量を上げることで、疾患の原因となっている慢性的な炎症が抑えられ、免疫を活性化し生活習慣病やがんなども抑えるということが考えられています。年齢に打ち勝つにも運動が必要であるといえるのです。

では、実際にどのような運動をするのがよいのでしょうか?

参考文献:The role of exercise and PGC1alpha in inflammation and chronic disease; Handschin C. and Spiegelman B. M; 2008

[3]免疫力を高めるのに役立つ運動のポイント

運動が免疫力アップに役立つと言っても、運動であれば何でもよいというわけではありません。とくに運動はしているよ…と思っている方でも、適切な強さの運動でなければきちんとした効果はでません。

ありがちなのは、だらだらと歩いているだけで息もあがらず汗もかかないで運動をしていると思いこんでいること。それではせっかくの運動の効果も十分にはでません。またかえって、やる気がありすぎて身体がへとへとになるまで運動をしてしまうことも疲労によって免疫力が落ちてしまいします。

そこで、ここでは免疫力を高めるために必要な運動のポイントを紹介します。

免疫力を高める運動のすすめ!インターバル速歩で免疫力アップ

免疫力を高めるためには自分にとって最適な運動強度を知る

これまでにも述べたように、免疫力アップに必要な運動の強さは疲労困憊に至るような強度の長い運動でも、息のあがらないのんびりしたような軽い運動でもありません。中等度の運動が免疫を高めるには一番適しているのです。では、その「中くらいの強さの運動」とはどのようにして決めるのでしょうか。

理想を言えば、近くのジムやスポーツセンターなどで自分の体力測定をしてもらい、そこから自分にあった運動の強さを決めるのが一番です。体力は人それぞれなので、その人その人にあった運動の強さがあるのです。一方、大掛かりな器具を使わず外で活動量計を使って外で算出する方法もあります。

それがどうしても難しい場合は、運動強度の目安として「ボルグ・スケール」というものがあります。自覚的な感覚を7段階にわけて運動強度を推定するもので、このボルグ・スケールでは「ややきつい」と感じる程度が健康維持に最適な運動強度となっています。

ただし、自分の感覚に頼るため実際には必要な運動量に達していなかったりします。ぜひ一度はご自身の体力を測定しましょう。

免疫力を高めるために行う運動はどのくらいの時間やればいいの?

では、このややきつい運動をどのくらいすればいいのでしょうか。実験研究では、ほんの短時間でも適切な運動強度になれば、NK細胞は増加するといわれています。実際には、アメリカのスポーツ医学のガイドラインによると、健常な成人においては1日30分程度の中等度の強さの運動を週5日続けることが、健康維持には必要とされています。

[4]免疫力を高めるのに役立つおすすめの運動

運動が苦手な人にとっては運動を続けること自体がストレスに感じることもあるでしょう。免疫力を高める運動は、無理なく続けられることが大切です。ここでは、運動が苦手な人でも続けやすい運動を紹介します。

免疫力を高める運動は1日30分のインターバル速歩がおすすめ

免疫力を高める運動のすすめ!インターバル速歩で免疫力アップ

ウォーキングなら運動としてやっている!と思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、残念ながらだらだらと長時間歩くだけのウォーキングでは運動の効果というのはほとんどでないのです。そこで信州大学大学院スポーツ医科学講座で開発されたインターバル速歩がおすすめです。

この運動は「ややきつい」と感じる早歩きを3分間、ゆっくりと歩くのを3分間、これを1セットとして5セット繰り返すと30分になります。めりはりをつけて1日にたった30分やるだけでよいのです。この運動のすごい所は科学的根拠にもとづいて開発されているので、血圧や血糖値が下がり生活習慣病の指標を改善したり、慢性炎症が抑制されたりとさまざまな効果がきちんと証明されています。

一方で、ただ歩いただけのグループではこれらの効果はありませんでした。やはり、ややきついと感じる程度の運動の強さが必要なのです。早歩き程度ではきつくない人は早歩きの部分をジョギングに変えても大丈夫です。

このインターバル速歩は1日30分以上を週に4回以上することを習慣化するのが理想ですが、運動に慣れていない人の場合、最初はきついと感じるかもしれません。その場合は、無理せず10分、20分から始めて少しずつ歩く時間を延ばしていくようにしましょう。

時間や場所を選ばずに自分のペースで行えるので、忙しい人でも取り入れやすいのがメリットです。10分を1日3回、15分を2回など、時間を分けて歩いても構いません。一度にたくさんではなくこまめにやって長く続けることが大切なのです。ひざに痛みがある人は、無理に続けると関節を痛めてしまうことがあるので注意が必要です。

水中であれば浮力の効果でひざへの負担が軽減されるだけでなく、陸上で少しきついと感じる運動も楽にできるのでおすすめです。

このことについて更に詳しく知りたい方は、免疫アップのためのウォーキング法の記事も参考にしてください。

参考サイト:NPO法人 熟年体育大学リサーチセンター

免疫力を高める運動にはストレッチがおすすめ

免疫力を高める運動のすすめ!インターバル速歩で免疫力アップ

ストレッチは、運動の前後に行うことで筋肉が和らぎ、運動中のけがのリスクが減少します。

まず、立ったまま両手を組んで上に伸ばしゆっくり体を引き上げ、全身を伸ばします。その後、片手をもう片方の手でつかんで横にそったり、体の後ろで腕を組んで胸を伸ばしたりして体のところどころを伸ばしていきます。伸ばすときは、気持ちよいと感じるくらいを目安にします。

ストレッチをする際は、自然に呼吸をするようにしましょう。呼吸を止めると筋肉に酸素が行き渡らず、筋肉がほぐれにくくなります。勢いをつけて行うと、筋肉を傷めてしまうことがあるのでゆっくり伸ばすようにしてください。

[5]運動を行う際の注意点

免疫力を高める効果が期待できる運動ですが、やり方を間違ったり注意が足りなかったりするとケガや体調不良の原因になります。運動を行う際の注意点もしっかり理解しておきましょう。

免疫力を高める運動のすすめ!インターバル速歩で免疫力アップ

水分と休息をこまめにとる

運動で筋肉を使うと、熱が生まれて体の温度が上昇します。その熱を発散させるため体は汗を分泌させますが、汗の量が多いと体が水分不足になることがあるため、こまめな水分補給が重要になります。

15分~30分に1回はひと息ついて水分をとるようにしましょう。

準備運動を行う

準備運動をせず筋肉が緊張した状態で体を動かすと、肉離れや捻挫などのトラブルを招いてしまうことがあります。運動中のトラブルを予防するためにも、運動を行う前は上で紹介したようなストレッチなど、準備運動を行いましょう。

調子がよくないときは無理をしない

体調がいつもと違うな…と感じたときは、無理をせず運動を控えるようにしましょう。普段から運動前に血圧や体温をチェックしておくと、自分の体調が見えやすくなります。運動中に不調を感じたときも、無理して継続せずその場で中止しましょう。

また、もともと持病がある人やなんらかの病気・ケガで治療中の人は、運動を計画する前に主治医に相談してください。

[6]楽しく続けられる運動が免疫力を高める!

適度な運動は、免疫細胞を増やし、慢性炎症を抑えることで免疫力アップにつながります。それだけでなく、肥満や生活習慣病の改善、ストレスの解消にも役立ちます。これらの効果を得るには「ややきつい」と感じる運動を毎日の習慣にして継続することが大切。自分で楽しいと感じられる運動を見つけて、ぜひ生活習慣に取り入れましょう。友人と散歩がてら、好きな音楽を聴きながらなど、より運動を楽しめる工夫をしてみてもよいですね。

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