免疫力と基礎体温

【医師監修】免疫力と基礎体温って関係あるの?運動・入浴・食事を工夫して体温を上げる方法とは

一見関係ないように思える免疫力と基礎体温ですが、実は体温が1度下がると、免疫力が30%低下するといわれています。なぜ、低体温が免疫力に影響するのでしょうか。免疫力と体温との関係や体温低下の原因、日常生活の中でできる体温アップ方法などを紹介します。

2018年04月09日更新

前山美千代 先生 (一般内科医)

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[1]免疫力と基礎体温の関係

ウイルスや細菌から体を守ってくれる免疫力。免疫力が弱まると、感染症やがんを発症しやすくなるため、免疫力の維持には気をつけたいものです。免疫力が低下する要因はさまざまありますが、基礎体温も免疫力に関係しています。

そもそも基礎体温とはなに?

基礎体温は、朝目覚めた直後など体が一番安静なときの体温のことを言います。人間の体はちょっとの動きや環境の変化で体温が変動するので、まずはこの基礎体温を測ることで自分の体温が低めなのか高めなのかを知る目安になります。

基礎体温が低いと免疫細胞の動きが鈍くなる

医学的な定義があるわけではありませんが、一般的に36度未満の体温は「低体温」と言われることが多いです。基礎体温が低い「低体温」の場合、免疫力が低下しやすいとされています。

体温が下がると、血管が収縮して血流が悪くなります。血液の中には、白血球と呼ばれる免疫細胞が存在しています。免疫力を担う免疫細胞は、血流の流れにのって体内をめぐり、体にウイルスや細菌といった異物がないかをパトロールして、見つけると攻撃して駆除します。体が冷えて血流が悪い状態では免疫細胞が素早く対応できず、ウイルスや細菌による影響を受けやすくなってしまうのです。

低体温になることで、もっとも影響を受けるのが免疫力といわれており、体温が1度下がると免疫力が30%低下するともいわれています。

[2]基礎体温が低下する4つの原因

それでは、どのような場合に基礎体温が低下しやすいのでしょうか。低体温となる要因を解説します。

加齢によって基礎体温が低下して免疫力も下がる

体温が低下する要因のひとつが加齢です。人間の体温は、乳幼児期は平熱が37度台と高めですが、徐々に低くなり、10歳くらいに一度一定の体温に落ち着きます。しかし、高齢になると再び低下していきます。具体的には、50歳以下の人と高齢者では0.2度以上体温の差があるとされています。

なぜこのように加齢によって体温の低下が起こるのか、直接的な原因はわかっていません。ただ、身体の生理機能や運動機能の衰えが関係しているのではないかと考えられています。

運動不足によって基礎体温が下がり、免疫力も低下する

近年は高齢者に限らず、若者にも低体温が増えています。その原因と考えられているのが運動不足です。ライフスタイルの変化によって、現代人は明らかに運動不足になっています。

運動量が少なくなると、筋肉量も減少します。筋肉は、人間の体の中でももっとも熱を生み出す器官であるため、筋肉量が減ると体温も低下してしまいます。

エアコン生活によって基礎体温が下がり、免疫力も低下する

エアコンが普及し、汗をかきにくい環境になっていることも低体温の要因のひとつ。暑い、寒いと感じると脳の視床下部にある体温中枢が刺激されます。しかし、エアコンで常にちょうどよい気温の中にいると、体温中枢を刺激する機会が少なくなり、体温を調整する機能も鈍くなります。

人間の体は、汗をかくことで熱を発散させ体温を下げるしくみになっていますが、汗をかかないと体に熱がこもってしまいます。そう言うと「かえって体温が上がるのでは?」と思いがちですが、体に熱がこもると体は体温が上がり過ぎないよう、基礎代謝を下げて余分な熱が生まれないようにします。その結果、低体温を招いてしまうのです。

ストレスによって基礎体温が下がり、免疫力も低下する

現代はストレス社会とも言われていますよね。ストレスを感じるとコルチゾールというホルモンが分泌されます。このコルチゾールは、筋肉を分解することによってストレスを和らげようとするため、筋肉量の減少につながり、低体温の原因になります。

[3]運動を取り入れて基礎体温をあげて免疫力アップ!

現代人や高齢者の体温低下の大きな原因となっている運動不足。運動で筋肉量を増やし、基礎体温を上げることで、免疫力アップも期待できます。また、運動をすると末梢の血管が広がり、全身の血液のめぐりもよくなります。

基礎体温をあげるためにまずは1日30分歩こう

1日中まったく動かずにいると、1日で0.5%の筋肉がなくなってしまうといわれています。筋肉量をキープして免疫力低下を防ぐためにも、毎日少しずつでも動くことが大切です。

運動の中でも毎日続けやすいのがウォーキング。理想は1日に30分のウォーキングを習慣にすることです。体温がもっとも低くなっている朝に歩けば、0.7度~1度の体温上昇が期待できます。

運動にあまり慣れていない人は、買い物は自転車を使わずに歩く、朝の通勤は1駅分歩く、など日常生活の中で無理なく続けられる方法で試してみましょう。30分歩き続けるのがつらい場合は、15分ずつを2回、10分ずつを3回と分けて歩いても大丈夫です。

ひざに痛みがある人は水中ウォーキングもおすすめ

高齢者などで、筋肉量がすでに低下している人は無理にウォーキングを続けると関節を痛めてしまう場合があります。普段運動量が少ない人は、10分、20分のウォーキングから始めて少しずつ歩く時間を増やしていくとよいでしょう。

階段の上り下りでもひざが痛むなど、日常生活でひざに痛みを感じている人は、水中ウォーキングもおすすめです。水の中は浮力が働くのでひざへの負担が軽くなります。

軽い筋トレも効率的

運動が好きな人であれば、筋力トレーニングを行うのもおすすめです。筋力トレーニングでもハードなものだと、免疫細胞の大敵である活性酸素を生み出してかえって逆効果になってしまいます。

軽い筋トレであれば、効率的に筋肉量を増やすことができ、血流量もアップするので免疫力向上につながります。特にゆっくりと行う腹筋や腕立て伏せ、腰を落としてひざを曲げるスクワットなどがおすすめです。筋トレは2~3日くらいに1度のペースで十分なので、無理なく行うようにしましょう。

[4]しっかりと入浴して基礎体温をあげて免疫力アップ!

忙しいから、面倒くさいから、と入浴をシャワーで済ませていませんか?体温をあげて免疫力を高めるには、ゆっくり湯ぶねにつかって体を芯から温めることが大切です。

半身浴でゆっくり体温が上がる

半身浴とは、おへそから胸の高さくらいまでのぬるいお湯にゆっくりと浸かる入浴法です。半身はお湯から出しているので汗もしっかりかくことができ、ゆっくりと体温を上げることができます。

半身浴のポイントは、温度と入浴時間。お湯の温度は少しぬるいと感じるくらいの38~40℃が最適です。お湯に浸かる時間は15分~30分くらいが目安です。短すぎると体がしっかり温まりません。浸かる時間が長すぎても体に負担となってしまいます。

今人気の岩盤浴もおすすめ

岩盤浴とは、およそ45~50℃に温めた天然鉱石の上にタオルなどを敷いて横になり、たっぷりと汗をかくサウナ式のお風呂で、「お湯を使わないお風呂」と言えます。遠赤外線の効果で体が芯からあたたまります。体温を上げつつ、汗もしっかり出せるので低体温の改善におすすめです。

時間がないときは熱い湯ぶねに10分浸かる

忙しくてゆっくり湯ぶねに浸かるのが難しいという場合は、41℃くらいのお湯に10分も浸かっていれば体温は上げることができます。この場合は、半身浴ではなく首までしっかり浸かりましょう。

ただ、この方法は急速に体温が上がるうえ、汗をしっかりかくことができないので体が疲れてしまうことがあります。体力に自信がない人や、心臓が弱い人はやめておきましょう。

[5]食事で基礎体温をあげて免疫力アップ!

免疫力によい食べ物には、免疫細胞を活性酸素から守る抗酸化食品や、免疫細胞の働きを活性化する栄養素を含む食品、腸内環境を整えて免疫細胞を元気にする食品などさまざまなものがあります。ここでは、低体温の予防、体温を上げて免疫力を高める、という観点での食事のポイントやおすすめ食品を紹介します。

基礎体温を上げるために体を温める食べ物をとろう

根菜類など、土の中で育つ食べ物や冬に旬を迎える食べ物は、体を温める作用があるといわれています。具体的には、にんじんやねぎ、しょうが、かぶなどが挙げられます。

特に、しょうがに含まれるジンゲロールという成分は、加熱することで体を温める成分に変化するため、積極的に料理に取り入れましょう。しょうが湯などもおすすめです。

朝食はしっかり食べる

体温を生み出すためには、運動と食事が重要になります。食事をとると体内でエネルギーと体温が生まれます。バタバタと慌ただしかったり寝起きで食欲がなかったりで朝食を食べない人も増えているようですが、朝食を食べないと午前中の体温が上がりにくくなります。朝食をしっかり食べられるよう夜更かしをしない、夜遅くに食べないなど生活から見直しましょう。

無理なダイエットに注意

無理なダイエットなどで栄養不良の状態になると、基礎代謝も低下します。すると、体内で生まれるエネルギー量が低下して生まれる熱も少なくなるため、低体温につながります。また、免疫細胞はタンパク質や脂質からできているため、栄養不足は免疫細胞そのものに影響してしまいます。免疫力アップのためには、さまざまな栄養をバランスよくとることが大切です。

[6]少しの工夫で基礎体温を上げて免疫力を高められる

最近風邪をひきやすくなった…という人は免疫力が低下している可能性があります。特に高齢の人や運動不足の人は低体温が原因で免疫力が低下しているとも考えられるので、低体温の改善に努めましょう。低体温の改善、などというと少し難しく聞こえてしまうかもしれませんが、入浴や食事、運動など日常生活の中で少し意識するだけで基礎体温が保たれます。苦手なことを無理して行うとストレスになってしまうので、無理なく続けられるものを見つけましょう。

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