【医師監修】筋トレをすると免疫力が上がる?下がる?その噂を徹底解明

筋トレをすると、筋肉を手に入れることができますよね。ところで、一部では筋トレをすると免疫力を上げることができると書かれていたり、一方で違う記事を見てみると免疫力が下がると書かれていたり…。一体どちらの情報が正しいのでしょうか?そこで、筋トレをすると免疫がどうなるのかまとめてみました。

2018年04月13日更新

免疫力と運動

眞鍋憲正 先生 (医師)

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[1] 筋トレをすると免疫力アップするって本当?

免疫力アップさせるためにはいろいろな方法がありますが、筋トレもその内の一つだと考えられています。しかし、筋トレをすると本当に免疫力までアップさせることはできるのでしょうか?

筋トレをするとナチュラルキラー細胞が活発になる

筋トレをして、免疫力が高まる可能性は以前から指摘されています。それは筋トレをすると、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)という細胞の活動が活性化することがわかっているからです。
このナチュラルキラー細胞は、身体の免疫の中で最初に反応する防御機構として重要な役割を担っています。ウイルスが入り込んで感染してしまった細胞や、正常な細胞が突然変異して異常ながん細胞になったときに、真っ先にそれらを攻撃して破壊するのがこの細胞の役割です。それらの活動が活性化するということは、体の免疫力が高まっているのではと考えられているのです。
しかし、活性化によって本当に病気になりにくくなっているのか、それともただ反応性に活性化しているだけなのかはまだわかっておらず、議論の余地のあるところです。

筋肉不足による活動低下は様々な病気を引き寄せてしまいがち

また単に筋肉不足が肥満や糖尿病などの生活習慣病、認知症、がんといった病気にまでなってしまう確率を高める可能性があることが最近わかってきました。
これは、不活動、つまり活動量の低下が遺伝子の「さびつき」を起こしてしまい、慢性的な身体の炎症をひきおこすという仮説です。この慢性的な炎症は身体のさまざまなところに影響を及ぼし、免疫がきちんと機能しなかったり、全身の組織を変化させてしまったりすることで引き起こされると考えられています。
生活に必要な筋肉まで衰えてしまうと、こうした不活動が進み遺伝子の「さびつき」がおこるだけでなく、行動範囲が狭まることで外的刺激が減ってしまうことが認知症などになってしまう要因の一つだと考えられているようです。

[2] 筋トレしている人は免疫力が下がるってデマ?

しかし、筋トレと免疫力という言葉を検索していると、反対に下がってしまうという記事も見受けられます。筋トレをするとナチュラルキラー細胞が活発になるという話でしたから、これは嘘のように思えますよね。しかし、全てが嘘というわけではありません。実は、筋トレには大きな落とし穴も潜んでいました。

激しい運動や筋トレをやり過ぎると免疫力が落ちてしまう

実は運動をハードにやりすぎると感染症にかかりやすくなってしまうことはこれまでにわかっています。ただし、これらは高強度で持久的な運動(マラソン選手のように長距離をかなり早い速度で走るような運動)をした際の話しで、特段筋トレが免疫力を下げてしまうという事実はないのです。おそらく、そのあたりを取り違えた形で広まってしまったためと思われます。
ただ、筋トレでも疲労困憊のような状態でやると免疫を低下させてしまう可能性はありますし、むしろケガにつながってしまう可能性があります。ですので、運動をする際は体調を十分に考慮しながら行うようにしましょう。

免疫力アップが目的なら適度な運動や筋トレがおすすめ

アスリートのように強度の高い激しい運動を繰り返すことは免疫力を下げることにつながってしまいます。免疫力アップを目的として運動を行うのであれば、適度な運動がおすすめです。20分程度の息があがるような運動をすることで、体の中のナチュラルキラー細胞の数がふえることが報告されています。

毎日適度な運動を行うことで、ナチュラルキラー細胞は活発になります。しかし、運動をしても昼夜逆転した生活や、精神的なストレスによって低下してしまいますので注意が必要です。激しい運動=健康的という考えは、一旦取り払いましょう。

自宅で簡単にできて免疫力アップが期待できるおすすめの筋トレ方法3選

筋トレというと、ジムが定番ですが自宅でも簡単に行うことができます。特別な機械を買わなくても家具を使ってできるような筋トレ方法もありますので、ぜひ行ってみてください。

  • スクワット

  • スクワットは、筋トレの中でも定番ですね。そのまましゃがんで行う人も多いですが、いすを使うともっと簡単に行うことができます。
    まず、足を肩幅くらいに開き、前に置いた椅子の背もたれに手を置きます。そして、ゆっくり3秒かけてしゃがみ、1秒間だけその状態でキープ。この時、ひざの角度は45℃になるように意識してみてください。このスクワットを1日に7~8分ほど行うようにします。毎日できなくても構いませんが、週に3~5日間は行えるようにしましょう。。

  • 上体起こし

  • 腹筋ができなくても、お腹の筋肉を鍛える方法があります。それが、上体起こしと呼ばれる筋トレです。上体をすべて起こすのではなく、少しだけ上げるのがポイント。
    やり方は、まず仰向けに寝転がり、両方の肩を浮かせて足を肩幅に開きます。そして、両腕を前に伸ばして太ももに触れ、おへそをのぞき込むような体制を1秒間キープします。そのあと、3秒かけて元の体勢に戻りましょう。

  • 腕立て伏せ

  • 腕立て伏せも、きついと思うのならひざを立てて行いましょう。
    まず、四つん這いの状態になりますが、このときに肘を伸ばしきらないことがポイントです。その後、両手を床につけます。腰が曲がらないように気をつけ、1秒間その姿勢をキープします。

筋トレした後にたんぱく質を摂取することも大切

筋肉をつけるのであれば、筋トレだけでなく筋トレした後の食事も意識してみてください。筋肉を作るのは、たんぱく質と呼ばれる成分です。肉や卵、魚などに多く含まれています。筋トレした後30分以内にこれらのたんぱく質を摂取すると、より効果的に定着させることができますが、食べることが厳しいのであれば粉末のプロテインなどを使ってみてください。

[3]免疫力アップで筋トレするのなら食事も気を付けて

筋トレをするのであれば、たんぱく質を摂取することが大切だということがわかりました。しかし、だからといってとんかつやステーキを食べればいいというわけではありません。では、どのようなことに気を付けて食事を行うべきでしょうか。

筋肉をつけるために食事に気を使うべき

筋肉をつける際、適切な量のたんぱく質を摂取するようにしてみてください。健康な成人だと1日に体重1kgあたり0.8gのたんぱく質量が推奨されていますが、筋肉をつけようとする人や活動量の多いひとは1日1g/㎏以上は必要といわれています。
また、最近では運動をしていなくてもやはりそれなりのたんぱく質は必要であることはわかってきています。たんぱく質を多く含むささみや豆腐などの大豆製品、赤身の肉などを意識して食べてみてください。もちろん、健康のためにはたんぱく質以外の栄養素も必要です。脂質や糖質、ミネラルなど合わせとることが大切ですのでバランスよく食べるようにしましょう。

自分の基礎代謝はどのくらい?

ところで、皆さんは一日にどのくらいのカロリーを摂取しているか気にしたことはありますか?ダイエットをしている人なら、なるべくローカロリーな食べ物を口にしようと考えるでしょう。実は、人によって基礎代謝や一日に必要な摂取カロリーは異なっています。なので、人によってはカロリーが足りていなかったり摂取しすぎていたりすることもあるはずです。

そこで、まずは自分の基礎代謝量がどのくらいなのか把握してみましょう。今回は厚生労働省のホームページを参考にしてみました。20代くらいの女性を例に挙げてみると、体重50kgの人の基礎代謝量は1,110キロカロリーということがわかりました。一日のうちに最低でもこれだけのカロリーを消費しているようです。もちろん、一日の活動量によって異なります。次に、一日の目標摂取カロリーを見てみます。

同じ例で挙げてみますが、今回は身体活動レベルがふつうの人を想定しました。すると、1,950キロカロリー摂取しなければいけないことがわかりました。それ以上に動いている人は、2,200キロカロリーで、あまり動いていない人は、1,650キロカロリー摂取するべきでした。皆さんは、どのくらい摂取していたでしょうか。ぜひ、この摂取カロリーを参考に食事をしてみてください。

参考:日本人の食事摂取基準(2015年版)

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