免疫ビタミンLPS

免疫ビタミン「LPS」とは?その効果と効率よく摂取できるおすすめ食品3選!

人間が健康でいるために欠かせないのが、体に備わる免疫力です。その免疫力を担う免疫機能を強固するとして注目されているのが免疫ビタミン「LPS」。具体的にどのような物質でどのような作用を持っているのか、免疫ビタミンLPSの概要から摂取方法までを詳しく解説します。

2018年03月15日更新

M.I (看護師)

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[1]免疫力アップに役立つ免疫ビタミン「LPS」(リポ多糖)

免疫は、ウイルスや細菌と言った外敵から体を守ってくれる重要な機能です。免疫機能が弱まると感染症やがんを発症しやすくなります。健康を守るために欠かせない免疫機能を強める夢のような作用をもつ物質が免疫ビタミン「LPS」です。

免疫ビタミン「LPS」ってどんなもの?

免疫ビタミンと呼ばれる「LPS」は、正式名称を「リポポリサッカライド」と言います。日本語では「糖脂質」を指します。LPSは、日本の免疫学者、杣源一郎(そまげんいちろう)氏を中心とした研究者グループにより発見されました。免疫細胞のひとつであるマクロファージに働きかけることで免疫機能を活性化し、免疫力を高めるとされています。また、このLPSが不足すると、癌やアトピー・アレルギー、肌荒れ等さまざまな病気に罹ることがわかってきたのです。

免疫ビタミン「LPS」の働き

免疫ビタミンLPSが作用するマクロファージは、体内に侵入したウイルスや細菌を捕食・消化して除去する働きをもつ免疫細胞。病気が発症してから戦うのでなく、発症前に働いて健康を守る、免疫機能の要ともなる存在です。
マクロファージにはレセプター(受容体)が複数ついており、そこで異物の情報をキャッチしています。レセプターにはいくつかの種類がありますが、その中に「トルライク・レセプター(略してTLR)」というものがあります。TLRの4番目(TLR4)はLPS専用のレセプターとなっており、TLR4にLPSが結合することで、マクロファージを活性化させます。

免疫ビタミン「LPS」発見のきっかけ

杣源一郎氏の研究グループは長年マクロファージの働きについて研究をし、マクロファージを活性化する物質を探し求めていましたが、LPSの発見はまったく偶然だったといいます。

研究グループは、マクロファージを活性化する物質は、免疫細胞への接触という面から見ても私たちの身近にある食品にそれが存在するのではと考え、膨大な種類の食品の成分を研究し続けていました。そしてあるとき、たまたまある製粉会社からグルテンを抽出する際に出る廃水を「研究の足しになれば」ともらいましたが、その水にマクロファージを活性化する物質が高い濃度で含まれていることを発見しました。

最初の段階ではまだその水に含まれるマクロファージを活性化する物質が何なのか、ということは不明でしたが、研究を重ねるうちにグラム陰性菌であるパントエア菌の細胞膜表面に付着しているLPSにたどり着いたのです。偶然とはいえ、やはり何年も研究し模索し続けた結果の発見と言えるでしょう。

[2] 免疫ビタミン「LPS」の病気抑制・改善効果

マクロファージを活性化させることでさまざまな病気の発症予防効果が期待できるLPSですが、具体的にどのような病気に有効と考えられているのでしょうか。ここでは、LPSで予防効果が期待できる病気の一例を紹介します。

免疫ビタミンLPS(リポ多糖)はがんの発症予防に期待できる

今や国民病とも言えるがん。日本人の2人に1人はなんらかのがんにかかるとされているほど発症頻度の高い病気です。

がんに対する免疫機能の働きとしては、まずマクロファージやNK細胞といった「自然免疫」と呼ばれる免疫細胞ががんを異物として認識し、攻撃します。そして、それによって得られた情報をT細胞やB細胞といった「獲得免疫」と呼ばれる免疫細胞に渡され、がんに対する攻撃力が強いキラーT細胞が誘導されます。このキラーT細胞がきちんと誘導されなければ、がんに対抗できません。

つまり、キラーT細胞誘導の肝となるマクロファージやNK細胞の働きが重要となります。LPSはマクロファージを活性化させ働きを高めるため、がんとの戦いにも非常に役立つ存在と言えます。
また、LPSはがんが発症した際の治療に使用される抗がん剤の副作用を抑制したり、効果を増強させることも研究で明らかになっています。

免疫ビタミンLPS(リポ多糖)は感染症の発症予防にも期待できる

LPSにより活性化するマクロファージは、体内に侵入したウイルスや細菌を食べて殺す働きを持ちます。そのため、風邪や食中毒といった感染症の予防に非常に役立つと考えられます。

人間にはもともとウイルスや細菌に対抗する免疫力が備わっていますが、ストレスや疲れなどにより免疫力は低下します。免疫力が低下すると感染症にかかりやすくなるため、日頃からLPSを意識して摂取することが大切です。
また、感染症の中でも流行しやすいものにインフルエンザがありますが、LPSはインフルエンザワクチンの効果を増強させる働きをもつことが最近の研究でわかっています。

免疫ビタミンLPS(リポ多糖)アルツハイマー型認知症の発症予防にも期待できる

高齢化が進むにつれ、アルツハイマー型認知症の患者数も増加しています。アルツハイマー型認知症を発症すると、記憶障害や見当識障害、失語などの中核症状から妄想や徘徊、うつといった周辺症状までさまざまな症状をきたします。アルツハイマー型認知症の治療法は確立しておらず、発症すると間違いなく進行するため、何よりも予防が重要とされています。

アルツハイマー型認知症の発症原因ははっきりとは解明されていませんが、アミロイドβというタンパク質が脳内に蓄積することがひとつの要因として考えられています。そして、このアミロイドβを排除する働きをもつと考えられているのが脳内のマクロファージであるマイクログリア。アミロイドβを排除する脳内マイクロファージを活性化することがアルツハイマー病予防に重要と考えられるため、ここでもLPSの働きが期待できるというわけです。

免疫ビタミンLPS(リポ多糖)は胃潰瘍の改善に期待できる

胃潰瘍とは、胃酸などによって胃の粘膜やその下の組織が溶かされてなくなってしまう病気です。原因としては、ピロリ菌の感染や非ステロイド性抗炎症薬による影響、ストレスなどがあげられます。
LPSを含んだ水を摂取させたマウスをその後絶食させ、ストレスを与えたのちに胃潰瘍部の長さを測ったところ、潰瘍の発症を4~50%抑制できたという研究結果があります。

免疫ビタミンLPS(リポ多糖)は肝硬変の改善に期待できる

肝硬変とは、ウイルスや長期的なアルコール摂取により肝臓の細胞が繊維化して硬くなってしまっている状態です。肝硬変が悪化した場合、治療法は肝移植ということになりますが、最近では自分の骨髄から採った細胞を移入するという治療法が注目されています。

そして近年、骨髄の細胞の中でも、特にマクロファージになる細胞が肝臓の炎症や状態を改善させることが動物実験により明らかとなりました。この結果から、マクロファージを活性化するLPSをプラスすることでより高い改善効果が見込めると考えられます。

免疫ビタミンLPS(リポ多糖)はやけどの改善に期待できる

やけどなどの強いストレスを受けると腸からの細菌の侵入が80倍に増えることがわかっています。重症のやけどなどでは感染症にかかって死亡するケースも。そのため、抗生物質を服用して感染症を予防しますが、抗生物質を飲むとマクロファージの活性が低下します。これは、抗生物質によって腸内細菌が減少したことで共生細菌に由来するLPSも減ってしまうことが原因と考えられています。

動物実験により、やけどを負った際に抗生物質と一緒にLPSを摂ると体内のマクロファージの活性が維持され、腸に侵入する細菌を増加させないことがわかっています。

上記以外でも、花粉症の抑制や糖尿病・骨粗鬆症予防、アトピー性皮膚炎等の改善や美肌効果も期待されると言われています。

[3] 免疫ビタミン「LPS」を食品から摂取する

LPSの発見はグルテンを抽出する際に出る廃水からでしたが、LPSが付着しているグラム陰性菌は私たちが普段食べている食品にも含まれています。

免疫ビタミンLPSを多く含むのは植物性食品

多くの植物はグラム陰性菌と共生しているため、LPSも付着しています。

身近な食品で言うと、ジャガイモやサツマイモなどのイモ類、米やそばなどの穀物、にんじんやれんこんなどの根菜類、ほうれん草や白菜などの葉物野菜などがLPSの摂取に最適な食品と言えます。LPSのような細菌の構成成分は、たとえば加熱などで細菌が死滅したとしても問題なく体には入ります。そのため、生で食べても加熱調理してもLPSは摂取できます。
ただし、農薬を使って育てられた野菜は共生細菌自体が減っているためLPS摂取の面ではあまりおすすめできません。できるだけ自然栽培の作物を食べるようにしましょう。

カスピ海ヨーグルトも免疫ビタミンLPSが豊富

ヨーグルトは健康食品として知られていますが、LPSを含んでいるのは一般的なヨーグルトではなく、「カスピ海ヨーグルト」と呼ばれるもの。

一般的なヨーグルトは乳酸菌を含んでいますが、乳酸菌はグラム陰性菌ではありません。一方、カスピ海ヨーグルトはクレモリス菌乳酸菌と酢酸菌の混合型で、酢酸菌がグラム陰性菌になります。この酢酸菌はお酢にも含まれており、日本人は古くからグラム陰性菌に付着するLPSを摂取してきたと言えます。

金芽米は免疫ビタミンLPSを含む優秀な食品

穀物の中で特にLPS摂取におすすめなのが「金芽米」です。

精米する前のお米は、白米とぬかの間に「亜湖粉層」という薄い膜があります。この亜湖粉層にはLPSが含まれているのですが、亜湖粉層は精米の際にぬかの方にくっついていってしまいます。
せっかくの免疫活性物質が取り除かれてしまうのはもったいない…ということで、白米の方にくっつくようにした方法で精米されたのが金芽米です。金芽米は、LPSだけでなくビタミンやミネラル、食物繊維も豊富に含んだ優秀食品です。

この他にもLPSが多く含まれている食品はたくさんあります。このことについて更に詳しく知りたい方は、管理栄養士さん監修のLPSが多く含まれる食品の記事も参考にしてください。

[4] 積極的に免疫ビタミンLPSを摂取して健康な体を目指そう

「免疫力を高める」というと、生活習慣の改善や運動などが思い浮かぶ方もいるかもしれません。普段の生活を見直すのは少々おっくうですが、LPSを含む食品を意識してとるだけでも免疫力アップが期待できます。

LPSの1日の目安摂取量は大人でおよそ500㎍とされていますが、摂り過ぎで不調が起こるものではありません。積極的にLPS食品をとり、健康的な毎日を過ごしましょう。
また、ここで紹介した食べ物以外のも免疫力アップが期待できるものがあります。このことについて更に詳しく知りたい方は、免疫力を高める食べ物についての記事も参考にしてみてください。

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