免疫ビタミンLPS

LPSでアレルギー症状が緩和できるって本当?花粉症やアトピーにも期待できる効果とは

免疫力向上に役立つとされる「LPS」が、アレルギーの発症、進行抑制にも有効だということが研究で明らかとなっています。ここでは、LPSのアレルギーへの作用やその具体的な効果を研究結果もふまえて紹介します。

2018年03月15日更新

M.I (看護師)

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[1]アレルギーと免疫ビタミンLPS(リポ多糖)の関係

アトピーや花粉症、ぜんそくなどのアレルギーをもつ人は増加傾向にあり、今や日本国内の人口の約2人に1人はなんらかのアレルギーに疾患していると見られています。今後もアレルギー患者の増加が見込まれますが、そんな中、免疫力の向上に役立つとして注目される物質LPS(正式名称:リポポリサッカライド)がアレルギーの症状緩和にも有効ということがわかってきました。
ここでは、まずアレルギーと免疫の関係から解説します。

アレルギー体質とは

「IgE抗体」が多く作られる体質のことです(IgE検査で、250lU/ml以上のこと)。つまり、IgE抗体が多いほどアレルギーをおこしやすい身体になるということです。

免疫の異常反応がアレルギー症状を引き起こす

免疫は、感染症の原因となるウイルスや細菌などが体内に侵入した際にそれらを除去する「体の防御機能」です。
ウイルス、細菌などの異物が侵入すると、免疫細胞はこれら異物に対抗する「IgE抗体」をつくり出して攻撃します。IgE抗体をつくるのが「Th2型」と呼ばれる獲得免疫です。獲得免疫にはTh1型とTh2型のふたつのタイプがあり、通常Th1型とTh2型はうまくバランスをとりながら働いています。
しかし、免疫力の低下によってこのバランスが崩れるとIgE抗体をつくるTh2型の働きが異常に活発になり、本来病気の原因とはならない花粉や食べ物、ダニなどに対してもIgE抗体がつくられてしまいます。その結果、花粉や食べ物、ダニなどが再度体内に侵入した際に過剰に反応し、アレルギー症状を引き起こします。

LPS(リポ多糖)がアレルギーの症状抑制に役立つ

獲得免疫Th1型とTh2型の不均衡によりアレルギー症状が引き起こされますが、LPSにはTh1型を優位してTh1型とTh2型のアンバランスをもとのバランスがよい状態に戻す作用があります。アレルギー症状の原因となるTh1型とTh2型の不均衡が改善されることで、アレルギー症状が抑えられ、症状が改善に向かうと考えられます。

[2]さまざまなタイプのアレルギー症状にLPS(リポ多糖)が役立つ

アレルギーとひとくちに言っても、アトピー性皮膚炎、花粉症などさまざまなタイプのアレルギーがあります。また、アレルギーは人間だけでなく動物にも起こります。
ここでは、さまざまなタイプのアレルギーに対するLPSの効果を、研究結果をふまえて紹介します。

アトピー性皮膚炎に対するLPS(リポ多糖)の効果

皮膚に強いかゆみや湿疹が現れるアトピー性皮膚炎。皮膚にももともと免疫が備わっており、その主役となるのが「ランゲルハンス細胞」と呼ばれる細胞です。研究により、LPSでこのランゲルハンス細胞を刺激するとIgE抗体をつくるTh2型の発現が抑制されることがわかっています。Th2型の発現が抑えられることでTh1型とTh2型のアンバランスが改善し、アトピー性皮膚炎の発症と進行も抑制できると考えられます。

また、体の左右対称にアトピー性皮膚炎の症状が出ていて、かつステロイドなどの薬を使用していない患者4人に対し、片側にLPS配合の保湿クリーム、もう片方にはLPSが配合されていない保湿クリームを4週間、朝晩塗布してもらう実験を行ったところ、両側の改善が2例、LPS配合クリームでの顕著な改善が2例という結果が出ています。
さらに、難治性と診断されているアトピー性皮膚炎患者5人にLPS溶液を1日3回、2ヶ月飲用してもらうという実験では、5人中4人に湿疹、かゆみの改善が見られたという結果が出ています。

このことについて更に詳しく知りたい方は、LPSとアトピー性皮膚炎の関係性についての記事も参考にしてください。

花粉症に対するLPS(リポ多糖)の効果

花粉症に対しては、マウスを使った実験で効果が明らかとなっています。あらかじめ花粉症にかからせておいたマウスを用意し、LPSを混ぜた水を与えるマウスと混ぜない普通の水を与えるマウスに分けて観察しました。
その結果、LPS入りの水を摂取していたマウスは、水だけを摂取していたマウスに比べて花粉症症状による鼻かきの回数が顕著に減少したということです。

ペット(小動物)のアレルギーに対するLPS(リポ多糖)の効果

アレルギー症状は人間だけでなく動物にも起こります。例えば、ペットとして飼われることが多い犬も、アレルギー性皮膚炎を発症することがあります。犬のアレルギー性皮膚炎は、食べ物やノミ、花粉などが原因です。アレルギー性皮膚炎を発症すると、体をひどくかゆがり、毛が抜けてしまうこともあります。LPSはこのようにペットのアレルギーに対しても効果を発揮します。

アトピー性皮膚炎を発症しているオスのシーズー犬に1ヶ月、LPSを混ぜた飲み水を与えたところ、劇的に症状が緩和したという報告があります。また、アトピー症状が出ている犬10頭にLPSを混ぜた飲み水を与えたところ、7頭にアトピー性皮膚炎に対する改善効果が見られたという研究結果もあります。
さらには、犬にLPS入りの飲み水を与える場合、どのくらいの濃度で配合すると犬が好んで飲むかを調査した研究もあります。さまざまな濃度で研究を重ねた結果、0.08~0.8㎍/mlの濃度でLPSを含んだ水に嗜好性が高いことがわかりました。

[3]アレルギー患者の増加にもLPS(リポ多糖)が関係している?

冒頭で、アレルギー患者が近年増加傾向にあることをお伝えしました。実はこのアレルギー患者の増加にも、LPSが関与していると考えられています。
LPSはグラム陰性菌という微生物の構成成分であり、植物が関わる環境に広く存在しています。植物だけでなく、土壌や井戸水にもLPSは多量に存在しています。これらのLPSは風にのって空気中に漂います。

ひと昔前は、街の中に森や林など自然が多くあり、呼吸を通じてLPSを体内に取り込む機会が十分にありました。しかし、近年、樹木の伐採や宅地開拓によって自然がどんどん減ってきています。植物や土に触れることが少なくなったことでLPSの摂取が減少し、それによってアレルギー症状も起こりやすくなっていると考えられます。
また、普段口にする野菜や果物に農薬が使われることが多くなり、LPSが共生する菌自体が除去され減ってしまっていることも原因と言えるでしょう。

[4]アレルギー症状の緩和にはLPS摂取の機会を増やすことが大切

細菌の表皮成分であるLPSをごく少量でも摂取し続けると免疫系が「細菌が入ってきた!」と認識し、Th1ga増加していきます。そうすると、次はTh2は減少します。その結果、徐々にIgE抗体が減少し、アレルギーが起きにくくなるのです。

植物や土などに触れる機会が減ったことで体に入るLPSも減少し、現代人はアレルギー症状を起こしやすくなっていると考えられます。子どものアレルギーが増加しているのも、生まれたときから清潔な環境で植物や土壌に触れることなく育てられるようになってきたからだと考えられています。呼吸を通じて入ってくるLPSが減った分、毎日の生活の中で意識してLPSを摂取していくことが大切です。
普段コンクリートで囲まれた都会で子育てをしている親御さんは、休みの日などにお子さんを緑の多い場所自然に触れられる場所に連れて行ってあげましょう。草や土のうえで遊ぶことはLPS摂取につながり、免疫力向上、アレルギー予防にも効果が期待できます。

また、LPSは植物に多く存在しているので、野菜や果物などの植物性食品を献立に多く取り入れましょう。健康を気にして無農薬野菜にこだわるご家庭も多いようですが、LPS摂取に関して言えば、LPSの共生細菌が農薬で除去されてしまっている野菜よりも、自然のまま栽培された野菜、果物の方がLPSを多く摂取できるのでおすすめです。そのほか、玄米やライ麦パン、そば、お酢など身近な食品にLPSは含まれています。意識してLPSを摂取し、アレルギーに負けない体をつくっていきましょう。

参考書籍:免疫ビタミンのすごい力

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