免疫ビタミンLPS

LPSで美肌になれる?アトピーなどの肌トラブルに効果が期待できると話題の免疫ビタミンとは

免疫ビタミンとも呼ばれる「LPS」は、病気の発症予防だけでなく美肌づくりにも力を発揮することをご存知でしょうか。LPSは免疫細胞であるマクロファージに働きかけることで免疫力を高めますが、それがなぜ美肌につながるのでしょう。LPSと美肌の関係性について詳しく解説します。

2018年03月16日更新

M.I (看護師)

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[1]美肌とLPS(リポ多糖)の関係

LPS(正式名称:リポポリサッカライド)は免疫細胞を活性化することで免疫力向上に役立つとされ、今注目を集めている成分です。免疫力というと感染症などの病気から体の健康を守ってくれるイメージがあるかもしれませんが、実は肌の健康にも重要な役割を果たしています。

肌に備わる免疫力

免疫力は、がんや感染症から体を守るだけでなく、肌の健康も守っています。肌の免疫機能の主となるのが「ランゲルハンス細胞」。ランゲルハンス細胞は肌の表皮部分に存在する免疫細胞で、表皮全体の細胞の2~5%がランゲルハンス細胞にあたります。ランゲルハンス細胞は、異物の侵入を察知して他の免疫細胞に攻撃するよう指示したり、紫外線や乾燥などの外的刺激に対する肌の反応を鎮めたりすることで肌の健康を守っています。

LPSがランゲルハンス細胞を活性化させて美肌に導く

LPSは、免疫細胞の中の「マクロファージ」に作用して活性化させます。マクロファージはウイルスなどの異物を発見すると真っ先に反応し、自ら異物を食べて除去したり他の免疫細胞を活性化させたりして異物から体を守る、いわば免疫力の最前線で働く重要な存在。マクロファージが活発に働けば、免疫力も高くなります。このマクロファージについて更に詳しく知りたい方は、LPSとマクロファージの関係についての記事も参考にしてみてください。

肌の免疫力を担うランゲルハンス細胞も、このマクロファージ系の免疫細胞であるため、LPSにより活性化します。ランゲルハンス細胞が活性化することで肌の健康状態が高まり、美肌効果が期待できます。

このようにLPSは免疫細胞を活性化し、お肌にも良い影響を与えてくれます。このことについて更に詳しく知りたい方は美容と免疫力の関係についての記事も参考にしてみてください。

[2]美肌づくりに役立つLPSの具体的な効果

マクロファージに作用することで肌の健康を守り、美肌づくりに役立つLPSですが、そのほかにも美肌づくりに効果が期待できる様々な作用を持っています。具体的にどのような作用があり、どのような効果が期待できるのでしょうか。

LPSで肌のバリア機能を高めて美肌に

外的刺激から肌を守るとともに体の水分の蒸発を防いでくれる「肌のバリア機能」。肌のバリア機能を担っているのが肌のもっとも表面部分にあたる角層で、角層の細胞内の「NMF(天然保湿因子)」が持つ水分や角層細胞同士のすき間を埋める「細胞間脂質」などにより、肌に異物が侵入しないようバリアが張られています。バリア機能が低下すると肌にアレルゲンなどが入り込んで炎症の原因になったり、水分が失われて肌が乾燥しやすくなったりします。バリア機能なしに美肌は保てないと言えるでしょう。

この肌のバリア機能に重要とされるのがフィラグリンというタンパク質です。フィラグリンはバリア機能に欠かせないNMFをつくります。そして、LPSはこのフィラグリン自体の産生を促す作用があるとされています。フィラグリンの発現を高めることで間接的にバリア機能向上に役立つと考えられます。

LPSで肌のハリ・ツヤをアップして美肌に

美肌に欠かせないのが、肌の主要成分となるヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンです。これらの成分が肌に十分備わっていることで肌の弾力やうるおいが保たれます。
ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンをつくっているのが「繊維芽細胞」と呼ばれる細胞です。LPSでマクロファージが活性化すると、この繊維芽細胞の増殖因子の遺伝子の発現が10倍高まることがわかっています。繊維芽細胞の増殖因子が生まれると、その近くの繊維芽細胞が増えていきます。繊維芽細胞が増えることによって繊維芽細胞がつくりだすヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンの量も増加し、肌のハリ・ツヤがアップするというわけです。

LPSで傷んだ皮膚の治癒を促して美肌に

LPSは、表皮を構成する細胞の中でも90%以上を占める「ケラチノサイト」という表皮細胞に作用し、ケラチノサイトの増殖や移動性を高める効果があることもわかっています。ケラチノサイトが増えて移動性が高まると、皮膚に傷がついた際、その傷の箇所に素早く多くの表皮細胞が集まり、創傷治癒が促されます。

LPSで抗菌物質を出して肌トラブルを防ぎ美肌へ

肌トラブルの原因のひとつとなるのが病原菌の増殖です。人間の皮膚には常在菌と呼ばれる常に備わっている菌がいます。常在菌には皮膚の健康を守る役割があり、常在菌自体は肌に必要な菌です。しかし、免疫力の低下などで常在菌が異常に増殖すると肌トラブルの原因となります。

例えば、アクネ菌は常在菌のひとつですが、角栓で出口が塞がれた毛穴の中に入り込むと炎症を起こす物質を出してニキビを作り出します。また、同じく常在菌のひとつである黄色ブドウ球菌は、異常に増殖することでアトピー性皮膚炎の原因になります。そこで役立つのがLPS。一定の濃度のLPSが皮膚を構成するケラチノサイトを刺激することで、抗菌物質が誘導されることが研究によってわかっています。LPSによる抗菌物質の誘導が菌の増殖による肌トラブルの予防に役立つと考えられます。

[3]アトピーの肌悩みにもLPSが役立つ

強いかゆみや湿疹をともなうアトピー性皮膚炎。アトピー性皮膚炎による肌の乾燥や湿疹。ただれに悩む方も多いでしょう。LPSは、このアトピー性皮膚炎の改善にも役立つことがわかっています。

LPSのアトピー性皮膚炎に対する作用

アトピー性皮膚炎の症状は、体に備わる獲得免疫のバランスの不均衡により起こります。獲得免疫には、ヘルパーT細胞による「細胞性免疫(Th1型)」と抗体をつくる「体液性免疫(Th2型)」があります。通常、このふたつはそれぞれの働きのバランスをとりながら病原物質を排除していますが、アレルギーをもつ人は、Th2型の働きが大きくなり獲得免疫の作用がアンバランスになりがちです。このアンバランスな状態が続くことで、アトピー性皮膚炎の症状が引き起こされます。
LPSには、Th1型を優位にする物質を誘導し、崩れた獲得免疫のバランスをもとに戻す働きがあります。正常なバランスになることにより、アトピー性皮膚炎の症状の発現を抑えられると考えられます。この関係性について更に詳しく知りたい方は、LPSとアレルギーの記事も参考にしてください。

美容にはLPS配合の保湿クリームがおすすめ

LPSを配合した保湿クリームは、特に軽度のアトピー性皮膚炎に効果が期待できるとされています。左右対称に症状が出ている4人のアトピー性皮膚炎患者に対し、片側にはLPS配合の保湿クリーム、もう片側にはLPSが配合されていないプラセボのクリームを塗布してもらった実験では、両側の改善が2例、LPS配合クリームでの顕著な改善が2例という結果が出ています。LPS配合クリームの使用は、手軽かつ効果的なのでアトピー性皮膚炎の日常的なケアに有効と言えるでしょう。

[4]LPSを取り入れて理想の美肌を目指そう

LPSは、LPS配合クリームでの経皮摂取だけでなく、食べ物からの経口摂取も可能です。例えば根菜類や葉物野菜、果物、玄米などの食品にはLPSが多く含まれています。最近人気のカスピ海ヨーグルトにもLPSが多く、さらに乳酸菌がプラスされることでより高い美容効果が期待できます。
体の健康だけでなく肌の健康も守ってくれるLPS。積極的に摂取してより美しい肌を目指したいですね。

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